IUGONETプロジェクト発足の背景

超高層大気中に見られるグローバルな諸現象は、太陽紫外線や太陽風からのエネルギー注入、大気波動による下層大気からのエネルギーや運動量の流入、電離圏・プラズマ圏での電磁エネルギー輸送、プラズマ流、化学反応などの多様なプロセスが複雑に絡み合った結果として観測されます。そのため、超高層大気における長期変動のメカニズムを解明するためには、全球規模の地上観測ネットワークによる様々な観測データ (例えば、大気の風速や温度、オーロラ画像、地磁気、太陽活動指数等) を組み合わせた総合的な解析が必要になります。

しかしながら、これまでは、このような超高層大気の地上観測データは、観測を行った機関ごとにデータベース化され、公開されるものの、その多くは個別の観測・研究に関係する特定分野での利用に留まっていました。また、一部の観測データについては、観測者と周辺の限られた研究者のみによる利用に終始し、公開されないまま記録メディアの中に埋もれるケースもありました。

IUGONETプロジェクトの目的・狙い

IUGONETの第二期 (平成27年度から平成32年度) には3つの活動方針があります。

 

1. 利用者 (特に新興国ユーザ) に対し、研究基盤を提供するとともに、サイエンスに関する議論の場を創出する

2. IUGONETが築いたコミュニティ・ノウハウを積極的に他分野に展開するとともに、将来のデータベース構築とその利活用ができる若手を育成する

3. 幅広い分野のデータの利用促進を図り、オープンサイエンスに貢献する

 

第一期 (平成21年度から平成26年度) は、総合的な解析を推進するために、メタデータ・データベースと解析ソフトウェアを開発、公開しました。第二期は、その機能や役割を向上させ、積極的に国際展開することで、サイエンスの議論を活性化し、世界レベルの先端的な研究成果を創出することを目標とします。また、データ中心科学を牽引する立場として、これまでに蓄積したプロダクトやそのノウハウを積極的に外部に提供し、他のプロジェクトの発展を支援します。そして、オープンデータ、オープンサイエンスに象徴されるように、データ駆動型科学の推進に貢献し、分野を融合した新しい科学成果の創出に挑戦します。

期待される効果

メタデータを集約してデータベース化したシステムは、分散管理された多種多様なデータへのアクセシビリティを高め、様々なデータを組み合わせた総合解析、分野融合研究を促進させる基盤として期待されています。IUGONETがターゲットとする超高層大気物理学分野では、グローバルな複合系における多層間の相互作用およびそれにともなう擾乱発生の仕組み、地球温暖化問題に関わる長期変動メカニズムの解明とその予測など、地球惑星科学分野に一層の進展をもたらすことが期待されます。また、様々な分野のメタデータ、データベースを接続することは、例えば、古書籍データに記録された現象と物理データの関係の解明など、分野の壁を越えた新しい発見を生み出す可能性を秘めています。